Linux を CD-ROM ブートで起動してそのまま CD オンリーで動かす方法がある。もちろん PC が CD-ORM ブートに対応している必要があるが、まぁ今どきの PC であれば CD-ROM ブートくらいはサポートしているだろう。
そのディストリビューションの名前は Knoppix (クノーピクス)というのだが、これがなかなかよくできている。
特長としては、
- 従来は OS やアプリケーションというものはCD-ROM や DVD からインストールするものであったが、
- Knoppix(ディストリビューション)の場合は CD-ROM から起動してそのまま KDE デスクトップになって、
- Firefox、OpenOffice.org(使わないけど)、ssh クライアントが動く。
- ほとんどのツール、ソフトが 1枚の CD-ROM に収められている。全部入りという感じ。DVD もあるようだが、DVD で全部入りは当然という感じがするので、ここは禁欲コースの CD-ROM を試してみたい。2GB の内容が 700MB に圧縮されているそうだ。
- ハードウェアはほとんど自動的に認識する。
- CD ベースだけど起動もそこそこ速い(ドライブの性能による(笑))し、使える速さで動く。
- 日本人が使えるように日本語がちゃんとしてる(決してすべて日本語化されてます!というものでもないが私にとっては期待以上であった)。
- Linux だから CPU が一昔前でも OK。メモリもそんなに積んでなくていい。512MB もあれば御の字。
- HDD がないマシンでも動く(HDD を抜いた状態での PC 動作確認済み)。
- その CD を元に USB メモリから起動する方法もある。
- Google が提供してるようなウェブベースのアプリ、そうでなくても少なくともメールはウェブメールにコミットできなら、これでいいんじゃないかと思える。シンクライアントを予感させる。
- ユースケースとしては、Knoppix の CD-ROM とストレージの代わりの USB メモリを常に持ち歩いていれば、旅行先とかのホテルにある PC でも自分の環境で作業できるだろう。メールチェックくらいならこれでもいいんじゃないか?海外出張に行ったらホテルが PC があったとしてもウィンドウズは英語版である。日本語環境ができるというところがミソなのだ。
- ハードウェアとしては CPU、メモリ、CD-ROM、ネットワークカード、USB、グラフィックカード、電源などを使うだけだ(というかつまりは HDD は使わない)から PC の環境は壊さずに痕跡を残さないで使用できる。Windows などは設定よっては OS が(イベントビューアなどに)起動の記録を残してしまうからそれはキャンセルしているということ。(しかしすぐに気づかれると思うが、Knoppix から HDD はマウントできるので実は非常に危険なソリューションでもあると思う)。
- 実はほかのユースケースとして、CD-ROM からブートしてそのまま CD-ROM ベースで使い続けるというソリューションは、壊れたハードディスクを復旧するのに使える。Knoppix を起動した後、 HDD をマウントできて中身が見えるようであれば俄然復旧の可能性は高くなる。ネットワークにつながればそのまま samba で他のマシンにつないでデータだけはネットワーク越しに転送できるし、USB のハードディスクとかあれば壊れた(OS から認識されなくなった) HDD のデータをコピーできる。
さて、どうすれば Knoppix ができるのかというと、
- Knoppix の CD-ROM イメージ(.iso)をダウンロードして
- CD-R に焼く。
の 2ステップで完了なのだが、xen バージョンの Knoppix とかあったりしてすごくわかりづらい。結論的には、最初は
ftp://ftp.dnsbalance.ring.gr.jp/archives/linux/knoppix/iso/
にある、
ftp://ftp.dnsbalance.ring.gr.jp/archives/linux/knoppix/iso/knoppix_v5.0.1CD_20060601-20060614+IPAFont_AC20060623.iso
をダウンロードして焼けばいいんじゃないかと思う。もちろんこのエントリーの時点での話で、バージョンは 5.0.1、近い将来また新しいバージョンが出るだろうけど同じようなのを見つけて欲しい。
焼くときには、Easy CD Creator とかであれば、ダウンロードしたファイルをダブルクリックするだけで CD-ROM ブート可能な CD-R を作ってくれる。ソフトで変なオプションをいろいろつける必要はない。
というわけで、一度は試してみて欲しい。オープンソースがこのような形で「使える」レベルになってきたのがよくわかると思う。
トラックバック URL:
https://perltips.twinkle.cc/trackback/148